リンコ's ジャーナル

病院薬剤師をしています。日々の臨床疑問について調べたことをこちらで綴っていきます。

2020-01-01から1年間の記事一覧

【CQ】帯状疱疹ワクチンの効果はどの程度ですか?

先日、日本環境感染学会から医療関係者のためのワクチンガイドライン 第3版が発行されました。 いくつかの改訂ポイントがありましたが、その中の一つとして「帯状疱疹ワクチン」が追加となりました。 現在本邦で承認されている帯状疱疹ワクチンは以下の2種類…

【CQ】NSAIDの心不全リスクはどの程度ですか?

NSAIDによる塩分・体液貯留→心不全のリスクはよく言われるところであり、 「急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)」においてNSAIDは心不全の増悪因子として以下のように記載されております。 さて、そのリスクはどの程度か?ということに疑問を…

薬と認知症の関連もろもろ-5【PPI】

今回は認知症と【PPI】との関連についての論文を。 PPIに関しては、観察研究のメタ解析がいくつも報告されておりますが、認知症との関連が示唆された論文とそうでない論文がありますので、それぞれを紹介します。 それでは1つ目。こちらは認知症との関連が示…

薬と認知症の関連もろもろ-4【アスピリン&NSAID】

今回は【アスピリン】と【NSAID】についての論文を。 抗炎症作用による認知症予防効果が期待されていたようですが果たして… まずは最新のコクランレビューを。 Aspirin and Other Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs for the Prevention of Dementia (認…

薬と認知症の関連もろもろ-3【降圧剤】【スタチン】

今回は【降圧剤】【スタチン】の認知症への影響についての論文を紹介していきます。 それぞれでRCTのメタ解析と観察研究のメタ解析を紹介します。 まずは【降圧剤】の観察研究のメタ解析から。 Association of Blood Pressure Lowering With Incident Dement…

薬と認知症の関連もろもろ-2【抗コリン薬】

今回は【抗コリン薬】と認知症の関連についての症例対象研究の論文を紹介していきます。 まずは1つ目。 Anticholinergic Drugs and Risk of Dementia: Case-Control Study 【抗コリン薬と認知症リスク】 BMJ . 2019 Oct 31;367:l6213. PMID: 31672847 【PECO…

薬と認知症の関連もろもろ-1【ベンゾジアゼピン系薬】

薬剤の服用と認知症発症との関連についての論文について、何回かに分けて書いていきます。 今回は【ベンゾジアゼピン系薬】との関連について。 まず、観察研究のメタ解析を。 Risk of Dementia in Long-Term Benzodiazepine Users: Evidence From a Meta-Ana…

【CQ】腎障害患者へのSGLT-2阻害薬投与は血糖コントロールを改善しますか?

腎機能障害のある患者へのSGLT-2阻害薬は、その作用機序から血糖降下作用が不十分と言われております。が、時々そのような患者への処方を見かけます。 さて、効果はあるのでしょうか… 今回は、それぞれの薬剤の腎障害患者を対象とした臨床試験の論文を読んで…

SSRIの出血リスクもろもろ-3(NSAID、抗血小板薬、抗凝固薬との併用)

前回(SSRIと出血リスクもろもろ-2(観察研究) - リンコ's ジャーナル)、前々回(SSRIと出血リスクもろもろ-1(メタ解析) - リンコ's ジャーナル)はSSRI単独による出血リスクに関する論文を紹介しましたが、今回はSSRIと出血リスクのある薬剤との併用による出血…

SSRIと出血リスクもろもろ-2(観察研究)

今回はSSRIと出血リスクについて、個別の観察研究にてそれぞれの出血リスクの程度を考えたいと思います。 まずは消化管出血について Use of SSRI, But Not SNRI, Increased Upper and Lower Gastrointestinal Bleeding: A Nationwide Population-Based Cohor…

SSRIと出血リスクもろもろ-1(メタ解析)

セロトニンの血小板凝集抑制作用については、日本血栓止血学会のホームページの用語集に以下のように記載されております。 セロトニン受容体は、神経伝達物質セロトニンにより活性化される受容体であり、神経伝達物質やホルモン放出の調節や、神経伝達の活性…

インスリンデグルデクの週3回投与ってどうですか?

認知症等の理由でインスリンの自己注が難しい方が時々おられます。家族の協力があれば継続は可能ですが、それが難しいこともあります。 デグルデクは42時間以上の効果持続が示唆されているので週3回投与とか可能なのかな…と思って調べたところ、いくつか文献…