今回は尿路結石におけるCa拮抗薬の効果ということで、ニフェジピンとタムスロシンの尿路結石排石への効果に関するメタ解析を見ていきます。
今回紹介する論文の「Introduction」に記載がありましたが、この2剤が選択されているのは、「α受容体遮断薬とCaチャネル拮抗薬が尿管における平滑筋弛緩の薬理学的効果を有している」からだそうで、「欧州泌尿器学会ガイドラインで推奨されている」そうです。
それではみていきます。
Comparative efficacy of tamsulosin versus nifedipine for distal ureteral calculi: a meta-analysis.
(遠位尿管結石におけるタムスロシン対ニフェジピンの有効性の比較:メタ解析)
Drug Des Devel Ther. 2016 Mar 29;10:1257-65.
PMID: 27099471
【PECO】
P: 遠位尿路結石患者4,961人
E:ニフェジピン群(2,472人)
C:タムスロシン群(2,489人)
O:排石率、排石時間、安全性
デザイン:12RCTのメタ解析
サブ解析:軽度および中等度から重度の合併症
評価者バイアス:2人の著者が独立して抽出している
出版バイアス:言語制限なし。Funnel Plotあり、良好。
元論文バイアス:RCTのメタ解析。ITT解析されているかどうかは不明。
異質性バイアス:異質性はアウトカムによってややばらつきあり。ブロボグラムの傾向はまずまず揃っている。
※多くの試験が4週間、タムスロシン0.4mg、ニフェジピン30mg or 30mg、結石の大きさの平均は5ミリ後半から7ミリ前半となっている。
Limitation:盲検化が難しかった(片方が降圧剤のため?)。試験間で薬剤の投与量が異なる。石の大きさが小さすぎる(5mm未満)ものを含んでいた。肯定的な結果が多く出版バイアスの可能性。
【結果】(E群 vs C群)
・排石率:92.9% vs 71.4%;リスク比 1.29(95%CI:1.25-1.33);11試験;n=4,198;I²=29%
・排石時間:標準平均差 -0.39(95%CI:(-0.72)-(-0.05));6試験;n=574;I²=74%
・合併症:リスク比 0.45(95%CI:0.28-0.72);7試験;n=1,405;I²=0%
※合併症は、サブ解析にて軽症および中等症から重症に分けられているが、n数が少ないため紹介は控えます。また、有害事象は全体としてn数が少ないため紹介は控えます。
【考察】
試験デザインとしてはさほど問題はないのかなと思うのですが、1つ気になるのが12のRCTのうち1つの試験のn数がすごく大きく全体に占めている割合が高いので、その結果に引っ張られている可能性があることです。(それも中国の試験なので…)
ただ全体としてのブロボグラムの傾向は一致しているので、さほど気にしなくてもいいのかもしれません。
結果としては、排石率、排石時間、合併症とも有意にタムスロシンに有利な結果となっておりました。排石時間の標準平均差は(-0.39)ということで、それほど大きな差ではないのかもしれません。
ただまあこれを見る限りは、タムスロシンを使えない理由がない限りはタムスロシンを使った方がいいのかな、と思います。その前に、使うのか使わないのかということを考えないといけないとは思いますが。でも、患者になったことのある私にとっては、できれば使いたく…
タムスロシンとプラセボの有効率の差については前回まとめていますのでこちらをご覧ください。