リンコ's ジャーナル

病院薬剤師をしています。日々の臨床疑問について調べたことをこちらで綴っていきます。

R-1ヨーグルトは風邪の罹患を減らしますか?

 

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CMではよく見るけど実際どんなことに効果が期待できるのだろうと思い調べてみました。意外と論文がたくさんあってビックリしました。

pubmedでの検索結果↓(「Lactobacillus delbrueckii ssp. bulgaricus OLL1073R-1」というのが正式名称かと思います。「OLL1073R-1」で検索しました。 )

 

その中から一つ紹介します。

Reducing the risk of infection in the elderly by dietary intake of yoghurt fermented with Lactobacillus delbrueckii ssp. bulgaricus OLL1073R-1.

(Lactobacillus delbrueckii ssp. bulgaricus OLL1073R-1で発酵されたヨーグルトの高齢者の食事摂取は感染症のリスクを減らす)

Br J Nutr. 2010 Oct;104(7):998-1006.

PMID: 20487575

 

【PECO】

P: 舟形studyの参加者57人(平均年齢74.5歳)、有田studyの参加者85人 (平均年齢67.7歳)

E:12週間のヨーグルト90g/日摂取(舟形:29人、有田:43人)

C:12週間の牛乳100ml/日摂取(舟形:28人、有田:42人)

O:風邪(インフルエンザを含む)の罹患率

 

デザイン:RCTのメタ解析。blindはできてなさそう。

解析方法:どちらもper protocolっぽい。

風邪の判定方法: 「All subjects were instructed to track any symptoms they had on a ‘cold symptoms checklist’ if they noted symptoms of the common cold. 」(すべての被験者は、風邪の症状に気付いた場合、「風邪症状のチェックリスト」にある症状(咳、くしゃみ、鼻づまり、鼻水、喉の痛み、喉の赤み、喉の腫れ、頭痛、体温、うずくような痛み、痛みを伴う関節痛、疲労、食欲の減少)を記載するよう指示された。)→このリストを使ってチェックしたと思われる。

アドヒアランス:いずれの群も80%以上で、有意差はなかった。

舟形study:ランダム化された60人のうち3人が試験期間中に脱落。期間は8週間。

有田study:ランダム化された95人のうち8人が初日に脱落、2人が試験中に脱落。期間は12週間。

 

【結果】風邪(インフルエンザを含む)の罹患率

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※この他に「ナチュラルキラー細胞活性」や「QOLスコア」に関する検討も行われていたが、意味があるのか分からないですし、数値をどう取り扱っていいのか分からなかったのでパスします。

 

ちなみに、R-1のホームページ(乳酸菌1073R-1株の効果 | 明治ヨーグルトライブラリー)では以下のように紹介されています。

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【考察】

色々と気になる部分が…

・牛乳100ml vs ヨーグルト90gは妥当なのか??どうせなら、R-1入りのヨーグルト vs R-1なしのヨーグルトで勝負してほしかった!

・この2つの試験を合算してメタ解析することは妥当なのか??試験期間が異なる&風邪の罹患率が大きく異なる!

・少なくとも被験者はブラインドができていない状態でのチェックリストへの記載による風邪の評価なので、割り引いて考える必要があるような…

 

なんだかんだ書きましたが、結果としてはR-1群で大きく風邪の罹患率が低下しています。それぞれの試験で有意差がつかなかったのはn数の不足による検出力不足が大きな原因かと思います。

1個150円ほどしますのでお金はかかりますが、風邪にかかる確率が半分くらい減るかもしれませんので風邪にかかりやすく悩んでいらっしゃる方で、お金に余裕があれば試してみてもいいのかな、と思います。

※これは論文を読んだ私の解釈ですので、効果を保証するものではありません。R-1はトクホ等の登録がなく、実質は”ただのヨーグルト”ですので、、、