ゲームのやりすぎは視力が下がるとか、緑を見た方が視力にはいい、なんて子供のころよく言われましたが、果てさて。
てことで、今回は子供の屋外活動と近視の発症・進行との関連を検討した研究を2つ紹介します。どちらもアブストラクトのみしか読めなかったのが残念でしたが。
まずは1つ目。
Outdoor activity reduces the prevalence of myopia in children.
(屋外活動は子供の近視の有病率を減らす)
Ophthalmology. 2008 Aug;115(8):1279-85.
PMID: 18294691
【PECO】
P:シドニーの51校の765人の6歳(1年)と12歳の2367人(7年)
E/C:屋外活動のレベル別(親と子供に活動に関する詳細なアンケートが行われた)
O:近視率、ジオプター
【結果】(12歳のサンプル)
〇高いレベルのnear workと低いレベルの屋外活動を組み合わせた生徒
→遠視の平均屈折が最小 (+0.27D;95%CI:0.02-0.52)
〇低いレベルのnear workと高いレベルの屋外活動を組み合わせた生徒
→遠視の平均屈折が最大(+0.56D;95%CI:0.38-0.75)
〇野外活動の増加との有意な保護との関連は、near work 活動の3分位の最低(P = 0.04)および中間(P = 0.02)で見られた。
〇屋内スポーツと近視の間に関連はなかった。
※6歳のサンプルでは、屈折と活動の測定値の間に一貫した関連性は見られなかった。
【考察】
詳細が分からないのは残念ですが、高いレベルの屋外活動はと近視の進行抑制には関連がありそうです。12歳のみで差が見られたのは、活動のレベルに差があったのか、12歳の方が進行しやすい年齢なのか、何かしらの理由があるのかもしれません。
2つ目です。
Outdoor activity during class recess reduces myopia onset and progression in school children.
(屋外活動は子供の近視の有病率を減らす)
Ophthalmology. 2013 May;120(5):1080-5.
PMID: 23462271
P:台湾南部の郊外にある2つの近隣の学校の7歳~11歳の小学生571人
E:介入プログラム333人(子供が休憩中に屋外で活動するために外に出るように奨励する教室外休憩プログラム)
C:コントロール238人
※ 片方の学校がE群、もう片方がC群
O:近視の発症、ジオプトリー、軸長
【結果】
〇1年後の近視の新たな発症(E群 vs C群):8.41% vs 17.65%; P <0.001
〇近視の進行(E群 vs C群):-0.25D vs -0.38D/年; P = 0.029
〇多変量解析
・近視のない被験者:介入プログラムと高学年の介入が近視のシフトに対する保護因子(それぞれP = 0.020およびP = 0.017)。
・近視の被験者:学年が近視の進行に有意に関連する唯一の変数(P = 0.006)。
【感想】
子供が休憩中に屋外で活動するだけでこんなにも差が出るとは驚きました(プログラムの詳細が確認できてないので違うかもしれませんが)。学年というのも一つのポイントかもしれません。
【全体を通して】
小児の近視の発症や進行抑制に屋外活動が重要ということが示唆されました。やっぱり大事なんですねー。