今回は、こちらの記事の中で出てきた論文を読んでみました。toyokeizai.net
Social relationships and mortality risk: a meta-analytic review.
(社会的つながりと死亡リスク)
PLoS Med. 2010 Jul 27;7(7):e1000316.
PMID: 20668659
P:148研究、308,849人(北米51%、ヨーロッパ37%、アジア11%、オーストラリア1%)、平均年齢63.9歳、女性49%・男性51%、地域住民60%・外来患者24%、入院患者16%
E/C:種々の社会的つながりの有無
O:死亡率のオッズ比(全ての文献の合計、ぞれぞれの文献のSocial Relationship Measure別(Structural、Functional、両方))
【批判的吟味】
デザイン:メタ解析(「the random effects weighted average effect size」を使用)
平均追跡期間:7.5年(SD7.1年、範囲3か月~58年)
追跡期間中に平均29%の患者が死亡した。
評価者バイアス:複数人の評価者によって独立してコード化されている。
出版バイアス:「Result」の「Omnibus Analysis」に記載あり。問題ないとの結論になっている。Funnel plotは偏りがあるようにも見えるが…
元論文バイアス:不明だが、観察研究、コホート研究のメタ解析か?
異質性バイアス:それぞれの解析のI²は比較的大きくなっている。特に、「combined measures」のブロボグラムはばらつきがありそう。
【結果】
・全体:OR 1.50(95%CI:1.42-1.59;I² = 81%(95%CI:78%-84%)
それぞれの文献のSocial Relationship Measure別
・Structural aspects of social relationships
(Functions provided or perceived to be available by social relationships)
:OR 1.57(95%CI:1.46-1.70;I²= 84%(95% CI:80%-87%)、63研究)
・Functional aspects of social relationships
(The existence and interconnections among differing social ties and roles)
:OR 1.46(95%CI:1.28-1.66;I² = 47%(95% CI:16% to 68%)、24研究)
・Combined assessments of social relationships
(Assessment of both structural and functional measures)
:OR 1.44(95%CI:1.32-1.58;I²= 82% (95%CI:78%-86%)、61研究)
【考察】
統計が複雑すぎ&ソーシャル関連の単語の意味が上手く理解できず…また勉強します。結果は誤訳しそうなので、英語のままの記載としました。
全体的に異質性が高くなっており、条件がそれぞれの調査で異なっているかもしれません。国や地域によって条件は違うとは思いますし。また、交絡因子の調整はできていないようなので、そこは割り引いて考えないといけないと思います。地域性を考えると、こういったものは日本の調査を重要視していくべきなのかなと思います。
ただ、社会的つながりと死亡については少なからず関連があるのではないかと思います。だからつながらないといけない、というのは言い過ぎかもしれませんが、長生きの秘訣ではあるのかなとは思います。
また、東洋経済の記事に出てきているグラフはこの文献のFig6
を元にしたグラフですが、(他の文献の)死亡に関するいくつかの因子とInORの比較がなされています。喫煙、飲酒、肥満などの因子をこの社会的つながりが上回っているか少なくとも同等ではある印象です。これを見てしまうと、社会的つながりはすごく大切だと感じますが、交絡因子が調節できていないということは考えておくべきだと思います。
今後、日本の調査も探して読んでみたいと思います。