リンコ's ジャーナル

病院薬剤師をしています。日々の臨床疑問について調べたことをこちらで綴っていきます。

ソーシャルキャピタルと健康もろもろー6(笑うことは健康につながりますか?その2「山形study」)

 


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笑いと健康についての第2弾です。山形studyを紹介します。

第1弾はコチラ↓

 

では論文の紹介を。

Associations of frequency of laughter with risk of all-cause mortality and cardiovascular disease incidence in a general population: findings from the Yamagata study.

(一般住民の総死亡や心血管疾患発症リスクと笑いの頻度の関連:山形研究の知見)

J Epidemiol. 2019 Apr 6.

PMID: 30956258

【PECO】

P:山形県で毎年行われる健康診断に参加した40歳以上の17,152人

E:「大声で笑う」頻度(週1回未満~月1回以上、月1回未満)

C:「大声で笑う」頻度(週1回以上)

O:総死亡および心血管疾患の発生率

 

デザイン:前向きコホート研究

追跡期間の中央値:5.4年

マッチング:されていない

調整された交絡因子:年齢、性別、高血圧、喫煙、飲酒状態

 

【結果】

主要アウトカム【死亡、心血管イベントへの影響(HR(95%CI))】

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サブ解析【性別、年齢別の死亡リスク(HR(95%CI))】

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【考察】

主要アウトカムでは、総死亡は週1回以上と比較して月1回未満で、心血管イベントは週1回以上と比べて月1回以上、週1回未満で有意に増加しました。が、イベント発生数が少なく、これを真に受けてもいいのかどうか微妙なところかと思います。

40歳という比較的低年齢も対象になっているのがこの研究の一つの特徴だと思いますが、それゆえにイベント発生数が少なくなった気もします。

サブ解析では女性および65歳以上のリスク上昇が示唆されました。これも同様の理由で参考程度かと。

Limitationとしては他に、「どれくらい頻繁に大声で笑いますか」という質問であり笑いの定義があいまいだったこと、ベースラインのみでしか笑いの頻度の調査をしなかったこと、健康診断の参加した人は一般人口より健康志向であった可能性等が本文中で挙げられておりました。

 

前回読んだ論文も含めて考えると、「笑い」が少ないことが何かを引き起こすとはあまり考えにくく、何かしらのリスクを抱えていることを示唆するのではないかと思います。問診とか会話の中で、「最近笑ってますか?」と聞くことで、隠れている何かを見つけることにつながるかもしれません。

 

 

では今回も最後に…

「一人一人の人生、笑っていきましょう!」

それでは聴いてください、HOTSQUALLで『Laugh at life』